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zoom RSS 微分は比例定数

<<   作成日時 : 2017/03/28 22:39   >>

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■ 微分は分数だったはずでは?

 微分は比例定数である。前回、微分は分数でdy/dxは見た目通り、dyをdxで割ったものと見なして構わないと述べたが、y=axと見るか、a=y/x と見るかの違いに過ぎず、本質的には同じことである。




■  f(x)の変化はxの変化に、ほぼ比例する

 前回述べたように、[f(x+Δx)− f(x)]/Δx のΔxを0に近づけた極限値がdf/dxである。ここで文字をxをa、Δxをhに変更する。便宜的なもので深い意味はない。hが0に非常に近いと、[f(a+h)− f(a)]/h = f’(a) という近似式が成り立つことになる。

これを f(a+h)− f(a)= f’(a)*h と変形する。近似式だから厳密性は欠く。微積分の理解には、このような“厳密ではない大雑把なイメージ”が不可欠。ここで、aを定数、hを変数と見なせば、f(a+h)− f(a)はhに比例していて、比例定数はf’(a)となっている。

大雑把に言うと、関数f(x)のxをちょっと動かすと、それに応じてf(x)もちょっと変化する。その変化の度合いを表したものが微分係数ということになる。



■ 例 f(x)=x^3 の微分

f(x)=x^3(xの3乗)のx=2での微分係数(「微分」とか「導関数」とか「微分係数」とか色々な言葉が出てくるが、あまり気にする必要はない)を求めてみる。

(2+h)^3−2^3がhに比例しているとしたときの比例定数を求めればいいのだが、
(2+h)^3−x^3=12h+6h^2+h^3 で比例式にならない!

しかし、hは0に極めて近い微小な値である。そうするとh^2、h^3はものすごく小さな値となるので0と見なして、2次と3次の項は無視してしまう。
そうすると、(2+h)^3−x^3=12h となり、比例定数は12となる。

一方、[(2+h)^3−x^3]/hでhを0に近づけても同じ結果になる。
どちらも似たような計算をすることになるので、この例では、比例定数と見なすことのありがたみはさほど感じない。分数と見なすのも比例定数と見なすのも本質的には同じことだから、当然とも言える。



■ 積の微分

積や合成関数の微分の公式を求めるには比例定数という見方は有用かもしれない。

f(x)とg(x)のx=aでの微分係数をそれぞれ、f’(a) 、g’(a)として、f(x)とg(x)の積:f(x)*g(x)のx=aでの微分係数を求めてみる。

これは、
f(a+h)−f(a)=f’(a)*h
g(a+h)−g(a)=g’(a)*h
という条件の下で、f(a+h)*g(a+h)−f(a)*g(a)をhの比例式と見なして比例定数を求めるということである。

f(a+h)=f(a)+f’(a)*h  g(a+h)=g(a)+g’(a)*h  なので、

f(a+h)*g(a+h)−f(a)*g(a)
=[f(a)*g’(a)+f’(a)*g(a)]*h+f’(a)*g(a)*h^2

先ほど同様、hは微小だから2次の項は無視すると[f(a)*g’(a)+f’(a)*g(a)]*hとなり、比例定数はf(a)*g’(a)+f’(a)*g(a)となる。これが求めるべき微分係数である。

合成関数の微分の公式も同様に求めることが出来る。
微分を分数・割り算と見なしてこれらの公式を導くことも出来るが、若干の技巧を要する。
比例定数と見なせば、特に工夫することなく、粛々と計算して求めることが出来る。


■ 多変数関数

 高校数学ではあまり出てこないが、大学以降の数学や物理などでは変数が2つ以上の関数(多変数関数)の微分を扱うことがある。この場合も、変数をちょっと動かしたらそれに応じてどう変化するかを見ることになり、比例定数に相当するのは、その拡張概念である行列・線型写像(※)である。

(※)行列・線型写像は微積分同様極めて応用範囲が広く有用。比例概念の拡張と認識していると理解しやすい。かつては高校数学で扱ったが、残念ながら、学習指導要領の改訂によって、今は扱わないことになってしまった。



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