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zoom RSS 微分は分数 dy/dxを「dx分のdy」と読んでも構わない

<<   作成日時 : 2017/03/24 22:03   >>

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「微分は分数ではないから、dy/dxを『dx分のdy』と読むのは間違い。『dy dx』と読むのが正しい」と言う人がいる。その人自身はちゃんと理解した上でそう言っているのだろうが、微積分を学ぶ人への助言としてはあまり望ましいものとは思えない。


■ 数式・数学記号の読み方は本質的ではない。

 記号の読み方は理解とは関係ない。極端に言えば仮に「×」を「たす」、「+」を「かける」と読んだとしても、正しく理解しているということはあり得る。
 とはいえ、敢えて一般的ではない読み方をする必要はない。「×」は「かける」、「+」は「たす」と読むのが普通だから、それに従った方がいいだろう。
 しかし、数式・数学記号の読み方は、完全に統一されているわけではない。高校数学以降で学ぶ数学記号は、人によって読み方が違うことはざらにある。「正しい読み方」に拘る必要はない。dy/dxの読み方は、「dx分のdy」、「dy dx」どちらが正しいのか?、などと悩む必要はない。どちらでも構わない。重要なのは読み方ではなく、概念の理解。



■ 微分は分数か?

「dy/dxを『dx分のdy』と読むのは間違い。」という人は、「微分は分数ではない」を理由に挙げるが、 [f(x+Δx)− f(x)]/Δx このΔxをどんどん0に近づけた極限値がdf/dxであり、 f(x+Δx)− f(x)=Δf とすれば、Δf/ΔxがΔx→0で、df/dxになるわけで、やはり df/dx は分数に見える。
 ではなぜ「微分は分数ではない」と言われるのだろうか?おそらく、極限値をあらわしているので普通の数とは違う、ということだろう。Δf/Δx であれば、Δxには0に近い具体的数値が入っていると考えることが出来る。Δx=0.1、0.01、0.001、とどんどん0に近づけていくと、Δf/Δx はある値に近づく、それをdf/dx と表す、ということであってdxに具体的数値が入るということではない。
 そうすると、「『2/3は分母が3で分子が2の分数というのと全く同様に、dy/dxは分母がdxで分子がdyの分数』と言うのは厳密性に欠く」というのも一理ある。ただし、そのような厳密なことに拘らないなら、「dxは0に極めて近い値で、dyはそれに応じた極めて0に近い値。dy/dxは見た目通り分数で、dyをdxで割ったもの」と捉えておいて問題ない。


■ 理解のためには、微分は分数、と捉えることが有益

 「微分は分数」と捉えると、厳密性に拘った場合に色々厄介なことになるので、それを回避するために「微分は分数ではない。微分という操作の結果がdy/dx」と説明されることが多いのだろう。しかし初学者が「微分は分数ではない」と思い込むと、微分のイメージを欠いたまま、「とにかく何か分からない操作があってそれで出てくる」と認識してしまうことになる。
 高校でやる微積分や極限は、「曲線も微小部分に着目し拡大したらほぼ直線」というような“厳密ではない大雑把なイメージ”が重要である。「厳密ではないから」ということでこのようなイメージを排除すると、理解を伴わないで公式を暗記することになりかねない。
 微積分や極限は、大学の数学で教えられている“εδ論法”によって厳密な裏付けがなされるが、高校数学レベルでの大雑把な直観的イメージなしでこれを理解するのは難しい。




■ まとめ

◆ 数式・数学記号の読み方は本質的なことではない。dy/dxをどう読むかは原則自由
◆ 厳密性に拘らないならdy/dxは分数と捉えて構わない。
◆ 微積分の理解のためには、dy/dxを分数と捉えることは有用



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