大場数理学院のブログ 数学教育について

アクセスカウンタ

zoom RSS 初めての文章問題に計算式は必要?余計なことは教えない

<<   作成日時 : 2016/07/23 19:01   >>

トラックバック 0 / コメント 0

 小学校1年生で、足し算や引き算の文章問題を扱う。この段階で、もし数の概念を習得していなかったり、文章問題の意味が理解できないとしたら、足し算・引き算よりも先に、これらを身に着ける必要がある。

 学校で、小学校1年生に対して行われている「文章問題は足し算か引き算のどちらかで解く。キーワードに着目してどちらなのかを決定する」という指導だと、文章問題の意味を理解しなくても、数の概念が不十分でも、とりあえず正解が出せてしまう。
 「理解なしでも答えが出せる方法」というのは便利でいいと思う人もいるかもしれない。しかし実際は逆で、こういう解法に頼ってしまうと、算数・数学がどんどん分からなくなり、ますます解法の暗記に頼らざるを得なくなり、悪循環に陥ってしまう。

 ある解法が有効なのは限られた範囲だけである。キーワードに着目する方法は”逆思考の問題”には通用しない。学年が進むごとに覚えるべき解法がどんどん増えていくが、それと同時に、それらを適切に使い分けないとならない。しかし、理解しないでそれを行うのは不可能である。結局、高校数学あたりで行き詰ってしまうことになる。

 そうならないためには、小学生の段階から理解のための学習を行うことが望ましい。そのためには小学校1年生の足し算・引き算の教え方から改善する必要がある。

教える上で守るべき原則は以下の2点である。

■ 余計なことは教えない。
■ 予備知識なしで解けるさまざまなタイプの問題を、易しい順に与える。


まず、小学校1年生の段階の子が以下のような状態だと想定する。

◆数の概念を習得している。物の数を数えられる。
◆簡単な文章は理解でき、文章題の意味も理解できる。
◆足し算も引き算も知らない。

 この想定は十分現実的である。冒頭で述べたように、もし数の概念や文章読解が不十分であれば、まずはそこをしっかり教えるべきである。これらが不十分なまま足し算だの引き算だの教えて、文章問題でとりあえず正解を出させる手法を教えるというのは、砂上に楼閣を築く行為である。

 こういう状態の子に以下のような問題を出してみる。

A「3人いるところに1人来た。何人になったのか?」
B「3人いたが1人帰った。何人になったのか?」
C「3人がミカンを2個ずつ持っている。全部で何個か?」
D「6個のミカンを2人で同じ数ずつ分ける。1人何個か?」

Aは足し算の場面、Bは引き算の場面、Cは掛け算の場面、Dは割り算の場面
などというのは、余計なことであり教えてはならない。

子供は、足し算も引き算も知らないのだから、そんなこと意識することなく、素で考えるしかない。遊んだりお菓子の数を巡って兄弟と喧嘩したりとさまざまな経験を積んでいて、数の概念を習得していて問題文の意味が分かれば、この程度の数値なら、答えを出せるだろう。

「何人かいるところに1人来て5人になった。最初に何人いたのか?」という逆思考の問題も同様である。問題文が理解しにくいようなら「最初に( )人いた。1人来たので5人になった」の括弧に適切な数値を入れされるようにしてもいいかもしれない。

 簡単な数値で、様々なタイプの問題をランダムに出す。子供がこれらに正しく答えることが出来たら、問題文の内容を理解した上で答えを出していると判断していい。また、足し算も引き算も教えていないのだから、「これは何算の問題か?」などと発想していないことは明らかである。

 数値を大きくして、「8人いるところに15人来た。何人になったのか?」ともなると、答えを出すのが困難になるかもしれない。それでも、「8より15だけ大きい数」「8、9、10、・・・と数えればいい。大変だけど、十分な時間を掛ければ出来る」と思うかもしれない。こう認識していれば、答えそのものは出せなくても十分理解しているといえる。

 このあたりから、効率よく数を数える方法や加減乗除の演算や式が有効となってくる。これらは子供にとっては問題を解く手段となる。

 教える側は、これら加減乗除などを習得させたくて、問題を出す。だからそれらを使って問題を解いてほしいと思ってしまうのだが、数値が簡単でそれらを使わなくても答えが出せる問題にまで使わせようとするから、話がややこしくなる。

「3人いるところに1人来た。何人になったのか?」は足し算を知らない子供でもすぐに「4人」と分かる。足し算を使う必要性も必然性もない。

 ところが算数教育界では、こういう問題で足し算を使わせることが目的になってしまっている。必要性も必然性もないのに足し算を使わせようとするので、「この問題文は足し算の場面」などという強引なこじつけが必要となってしまう。これは間違った教え方である。

 教える側がある手段を使わせたいと思ったら、その手段を使わざるを得ない問題を与えるべきである。

 その手段なしで解ける問題でその手段の使用を強要すれば、子供は「このような問題では、このような手段を使わないとならない」と思い込んでしまう。そうすると、「問題パターンごとに解法パターンを覚える」という間違った勉強法に突き進んでしまうことになってしまう。
 






意見・感想・コメントは↓にお寄せください。
算数「かけ算の順序」を中心に数学教育を考える 掲示板
http://8254.teacup.com/kakezannojunjo/bbs

月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文
初めての文章問題に計算式は必要?余計なことは教えない 大場数理学院のブログ 数学教育について/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる