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zoom RSS 「逆思考の問題」で混乱するのは必至

<<   作成日時 : 2016/07/17 13:52   >>

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 小学校1年で足し算と引き算を教わる。この段階で、「文章題は足し算か引き算で求める。」となってしまう。算数教育界では「演算決定」という専門用語まであり、子供がこのように発想することを肯定的に捉えている。さらにまた、キーワードに着目して演算決定するようにも教えている。

ネットに公開されている指導案より
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これまでに子供たちは、文章題について、たし算では増加場面や合併場面を学習し、ひき算で は求残場面や求差場面を学習してきた。その中で、たし算やひき算が適切に利用できるよう、文章中の「みんなで」、「ふえると」、「ちがいは」、「どちらが」などのキーワードに着目をして、演算決定の手がかりとすることを学んできた。
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http://www.oklab.ed.jp/sugaku/sidouan/sidouan_syo/s1/s1191108.pdf


 これ自体が、「問題が与えられたら、これまで教わった解法のどれかで解くはずである。」「どの解法を使うかは、問題文の意味を捉える必要はなくて、一部を見て判断すればいい」という態度を助長し、その後の算数・数学の学習において多大な悪影響を及ぼすことになる。「問題文に『組み合わせ』とあるからCで解く」「面積を求めるのだから、とにかく積分すればいい」と、問題文の断片から条件反射的に解法を判断するのは、数学が苦手になる近道である。 


前回書いたように、これだと、「金魚がいて2匹取ったら3匹残った。最初は何匹いたのか?」というような、「逆思考の問題」で行き詰る。このあたりをもう少し詳しく見ると、実に馬鹿らしいことになっていることが分かる。

1年では以下のようなことが教えられる。

■足し算の意味は「ふえるといくつ(増加)」、「あわせていくつ(合併)」の2種類
引き算の意味は「のこりはいくつ(求残)」、「ちがいはいくつ(求差)」の2種類
■文章問題は、増加場面・合併場面・求残場面・求差場面のどれかに当てはまる。
■場面に即した式を作る。

では、以下のような場合はどうなるのか?

問題「水槽に金魚が4匹いる。3匹追加した。何匹になったのか?」
答案「式 3+4=7  答え 7匹」

「それだと3匹いるところ4匹追加したことになってしまって場面に即していない。4+3=7とするのが正しい」と矯正されることになるのか?

「掛け算の順序」は時々世間の話題となるが、「足し算の順序が違うからバツ」という例はそれほど多くは報告されていない。しかし、皆無でもない。

 実際の学校現場でどの程度徹底されているかは不明だが、教科書会社や算数教育の専門家の意見を総合すると、算数教育の世界では、「この問題は『4+3=7』が正しくて『3+4=7』は間違い」とされているようである。実に馬鹿馬鹿しい話である。

教科書会社:啓林館のサイトより 
問題「車が5台あるところに2台来たら何台になるか?」
「5+2が正しくて、2+5は間違い」と教える授業。
http://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/sansu/jissen/0709/1nen/

【友人ら3人と公園に行ったら、そこにはすでに4人いた。何人になったか?】
この場合、「正しい式」は、「4+3=7」なのか?「3+4=7」なのか?

「3人」の側に視点を置けば、「最初は3人で、その後4人」と見えるし、公園に視点を置けば「最初は4人で、そのあと3人」と見える。

「3に4加わった」と「4に3加わった」を区別する意味はないし、ましてそれらを「3+4」と「4+3」の違いで表現する意味もない。

ちょっと考えたら足し算の順序に拘るなど馬鹿げていることが分かるが、算数教育ではそういう馬鹿げたことが大真面目に教えられていることがある。

 そして、すでに指摘したように、2年生になって、逆思考の問題で実に困ったことになる。

問題「教室に4人いるところに何人か入ってきて11人になった。入ってきたのは何人か?」


「足し算の意味」「引き算の意味」「場面に即した式」などと散々教わっていたら、この問題で「11−4=7」とするのは躊躇するだろう。

 そこで、「式 4+7=11  答え 7人」としたとする。
足し算の意味「ふえるといくつ(増加)」で、問題文の場面にも合致する。

ところがこれだとバツになる可能性がある。
算数教育の専門雑誌に掲載されたある論説は、この答案を
「式は、わかっている数量だけを使って書くという考えが出来ていない。」と断じている。
http://8254.teacup.com/kakezannojunjo/bbs/t52/1-2

 これでは、答えがわかっても、さらにどういう計算で求めればいいかがわかっても、答案にどういう式を書けば丸がもらえるのか、大人でも判断に迷うだろう。学校では、逆思考の問題では、それまで散々教えてきたことを忘れたかのように、「この問題は『11−4=7』が唯一の正しい式」とするようである。

 「逆思考の問題は子供にとっては難しい」というが、わざわざ子供を混乱させるように有害無益なことを教えた結果ともいえる。

 これは小学校算数に限った話ではない。中学・高校の数学教育全般についても同様のことがいえる。

■ 余計なことは教えない。
■ 予備知識なしで解けるさまざまなタイプの問題を、易しい順に与える。

たったこれだけのことで、算数・数学教育は今よりずっとスリムになる。


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算数「かけ算の順序」を中心に数学教育を考える 掲示板
http://8254.teacup.com/kakezannojunjo/bbs

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